【ダイエットの件】第1話 痩せか肥満か!?地獄にあらわれた最強の男

連続ブログ小説『ダイエットの件』

202X年。

世界は完全なるダイエットブームに包まれた。

海は枯れ、地は裂け、あらゆる生命体が痩せたかに見えた。

だが、人類は完全に痩せてはいなかった。

 

~ここでオープニングテーマが流れる~

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ダイエットに背を向ける男たち

バイクに乗った肥満集団が車に乗った痩せ人達を見つける。

肥満集団が痩せ人達に襲い掛かる。

>肥満集団
「ホホホーイ!!」「ホホホーイ!!」

>痩せ人達
「がぁ」「きゃぁ」

肥満集団が痩せ人達にカツカレーを投げつける。カツカレーがドライバーの顔に直撃し、その影響で痩せ人達の車が横転。

横転した車に肥満集団がやってきて車を漁る。

>肥満集団
「ヒャッほい 酵素水だーーーっ!!」「プロテインもたくさんもってやがったぜ!!」

「こんなもんまでもってやがった」

肥満人はダイエットレシピや筋トレ教材を見つけ、大げさにばら撒いた。

「今じゃ脂取り紙にもならねーよぉ!」

 

世はすっかり肥満が支配する時代になっていた。

 

場面は変わって、肥満集団の溜まり場。

>肥満人
「痔努(じぃど)!!」

>痔努
「なんや!」

>肥満人
「精鋭肥満部隊のやつらがーっ!! 何者かに!!」

>痔努
「なんやて~!?」

場面は変わって、痔努が大勢の仲間の痩せこけた姿を見ている。そして、仲間たちは全員気絶しているようだ。

>痔努
「誰や!誰がこんなことしたんや!!」

痔努が怒りに震え、

「痔努のメンバーと知ってのことかいなっ!!」

>肥満人
「痔努、それにしても痩せこけた姿が変だ」

「どうみても外部から痩せたものじゃない」

「全員、体の内部からスリムになったような感じだ・・・」

「痔努!!まだ肥満なやつがいるぞ!!」

痔努がその者に近づく。

>痔努
「何や、何があったんや!!」

>気絶しかけの肥満人
「と・・・とくほ」

>痔努
「とくほ?」

そんな中、気絶しかけの肥満人がみるみるガリガリになっていき、気絶してしまう。

>肥満人
「何や、今のは!?」「ま・・・まさか、小型のEMSのようなものを」

>痔努
「いや今の時代にそんな精巧なEMSが残っているはずはねぇ」

痔努は思う。『一体何が・・・・・、そして”とくほ”とは・・・』

ダイエットの件

場面は変わって、非常に暑い荒野の中を一人の痩せ人の男が今にも倒れそうに歩いている。

>痩せ人の男
「み・・・水・・・」

痩せ人の男が誰もいない街中に入っていく。そして、しばらく入ったところで網罠に引っ掛かり、宙吊りにされてしまう。そして、痩せ人達に牢屋へ閉じ込められてしまう。

>痩せ人達
「長老が帰ってくるまで牢に入っておけ!」

痩せ人の男は牢にうつ伏せの状態で横たわっている。その脇に一人の少年がいる。

>少年
「へっ!またバカがやっちまったな!」

「林!水でもやっとけ」

林(はやし)と呼ばれた少女が、水を痩せ人の男に差し出す。

>痩せ人の男
「あ・・・ありがとう」

その隙を狙って少年が林の腕をつかむ。そして、痩せ人の男に訴える。

>少年
「早くカギを取れ!」

「何をグズグズしてるんだ、おまえだってこの村に盗みにはいったんだろう!」

痩せ人の男が少年の腕をつかむ。

グ・・・

>少年

「ぎゃあ」

「この野郎、何するんだ!」

少年が腕の痛みで林の腕を離す。その反動で林が座り込む。

>痩せ人の男

「すまんが水をもう一杯くれないか?」

林はうなずき、牢屋を後にする。

>少年

「いたた・・・」

「おまえ、一体何を考えているんだ!」

>痩せ人の男

「おまえが逃げたら、あの子はどうなる・・・」

痩せ人の男は仰向けになりながら目を閉じ、そう呟いた。

>少年

「こんな時代に何を甘いこと言ってるんだ!」

「おまえ、今日までよくやってこれたなぁ」

「で、正直に言ってくれ。どうせ、どこかでこの村のウワサをきいてやってきたんだろ・・・」

「みろよあれを!」

少年が牢屋の窓の方を指差す。

「この村にはウォーターサーバーがある!そして、キヌアもタップリあるってわけだ!」

「これから生きのびていくにはウォーターサーバーとキヌアだ!力のあるやつがこれを奪い、そして生きていく」

「力が支配するんだ」

「この村の痩せ人も肥満人から身を守るために自衛団を組織しているが、しょせんは素人。大勢の肥満人にかかったおしまいだ!」

「なぁ、おれと組まないか?」

痩せ人の男は寝ころびながらそっぽを向く。

>少年

「ケッ、勝手にしろっ!」

そのような中、林が新たな水と食料を持ってくるのに少年が気付く。

「な・・・なんだよおい・・・、キヌアまで」

痩せ人の男は水に手を伸ばし一気に飲み干す。

>痩せ人の男

「ありがとう・・・生き返ったよ!」

林は痩せ人の男に笑顔で返した。

>痩せ人の男

「でも大丈夫か、こんなことをして・・・」

少女は照れながらうなずく。

>少年

「赤くなりやがって、ませたガキだな!!」

>痩せ人の男

「俺は”件”だ、ダイエットを追求する者だ。」

「あんたなんという名だ?」

少女は悲しそうに顔を伏せて、だまる

>少年

「無理だよ。そいつは耳はきこえるけどしゃべれないんだ」

>件

「しゃべれ・・」

林は不安そうな顔を覗かす。

>少年

「実は肥満人によって、親兄弟を食べ放題の店に連れていかれてしまったんだ」

「今では身寄りがないうえ、村ではやっかい者扱いなんだ。」

「今の世の中、ガキなんはなんの役にもたたない」

「まっ、生まれてこなかったほうがよかったんだ」

林は涙を浮かべ、少年を睨みつける。

>少年

「わっ・・・、わるかったよ、そんなににらむことぁねぇだろ~」

>件

「つらいか・・・」

林は首を横に振る。

>件

『そうか・・・』この子の幼い目は多くの地獄をみてきただろうに・・・

件がおもむろに両手を少女の後頭部に添える。

>件

「大丈夫、動かないで」

件の両手に電気が走る。

>少年

「何をしたんだ?」

>件

「しゃべれるように、おまじないをしたのさ!」

>少年

「なにィ~」

>件

「あとはこの女の心しだいだ」

>少年

「ウソだろうが、なんだろうが、こんなに他人から優しくされたのは生まれて初めてだろうぜ!」

そこへ痩せ人達がやってきた。

>痩せ人達

「立て!長老が帰られた」

牢屋は開け放たれ、件が痩せ人達に連れていかれる。

特保プロテイン計量スプーン、それは筋肉の印

>長老

「どこへ行く?」

>件

「あてはない・・・」

>痩せ人

「長老・・もし痔努の仲間だったら・・」

>長老

「調べろ。痔努の仲間だったら体のどこかに痔努のタトゥーがあるはずだ!」

痩せ人達が件の上半身の服を破り捨てると、件の上半身があらわになった。

件の上半身には7つの傷があった。その傷はまさに”特保プロテイン計量スプーン”をかたどったようだ。

その姿を見て、長老が怯える。

>痩せ人

「長老どうしたんですか!?」

>長老

「特保プロテイン計量スプーン・・・」「それは、筋肉を司る印」

『特保現るところに乱アリ!不吉な」

そこへ別の痩せ人達が慌てたようすで走り込んでくる。

>痩せ人

「大変だ、痔努のやつらが!」

村人が一斉に痔努に立ち向かうために戦場へ。

「林も来い!おまえも戦うんだ!」

林はうなずき、村人と駆け出そうとする。しかし、ふと思い立ち牢のカギを件と少年へ投げ捨て、駆け出した。

>少年

「あいつ完全におまえにゾッコンだぜ」

「自分が連行される覚悟で、カギをおいていきやがった!」

>件

「連行される!?」

>少年

「ああ!相手は痔努だ!やつらは女子供だろうが容赦なく食べ放題に連行だ!!」

少年はそう語りながら、牢のカギを使って牢を開けようとするが、上手いこと開けれない。

それに業を煮やした件は、牢の鉄格子を横方向に人が出れる大きさにねじ拡げる。

件は牢を飛び出す。

>少年

「おい!待てよ!どこへ行くんだ!」

「村の連中なんか痔努にかかったら1分ももたねぇ、逃げるが勝ちだぜ。グズグズしてたら、こっちまで連行される」

そして、件が屋外へ飛び出す。飛び出した先には、痩せ人達の太った姿が!

>痔努

「抵抗やめへんか~い、そやないとこの小娘の口一杯にカツカレーをぶち込むさかい!」

「キヌアや!ありったけのキヌアをもってこんかい!」

>痩せ人

「長老!かまうことはない。戦いましょう!」

痔努の巨大な手が林の口元に掛かる!

その時!件が痔努に向けて少しずつ歩みを進める。

>林

「うぅ」

「件~~~!!来ちゃダメ~!!」

件は驚いた表情を見せる。また、痩せ人達も同様に驚いている。

>痩せ人達

「しゃ・・しゃべった、林が・・・」

>少年

「しゃ・・しゃべった」

「あ・・・あんたいったい何者なんだ、あの時にいったい何をしたんだ」

>痔努

「うるせえガキ!!」

>林

「逃げて―!!」

>少年

「そ・・・そんな信じられない」

件は、林の声を無視して痔努に向けて歩いていく。

>少年

「お・・、おい」

>林

「け・・・けん」

そのような中、痔努の手下が件を取り囲む。

>件

「どけ!」

>痔努の手下

「いい度胸しているじゃねえか!!」

「腹一杯食わせてやる!」

件が一振りの蹴りで痔努の手下達の顔面を捉える。

そして、高い跳躍を行い痔努の真向かいに着地した。

>痔努の手下

「ん!?野郎!ふざけやがって!!」

再び件に手下共が襲い掛かる。その瞬間、手下共に変化が起こる。みるみるうちにスリムになっていく。

>少年

「な・・・なんだ」

>長老

「と・・・特保神件」

>件

「その子を離せ!」

>痔努

「きさまかぁ、おれの仲間やったんは?」

件が怒りに震え、力を解放し、上半身の服が破れると同時に、痔努に高速の件を打ち込む。

「あたっ!!あたたたたーっ!!」

痔努の巨大な体は宙へと吹っ飛んだ弾みで、林が痔努の手から落下する。

件が落下を受け止めると同時に痔努が地面へと倒れ込む。

>長老

『その昔・・・、中国より伝わる恐るべきダイエット件があると聞く・・・その名を特保神件・・・。

一挙に全エネルギーを集中し、肉体の経穴に衝撃を与え、表面のスリム化よりむしろ内部からのスリム化を極意とした一撃必殺の件法。』

「それが今ここに・・・」

>痔努

「きさまの拳など蚊ほどもきかんわ~」

「ぐふふ、連行したる~~」

>件

「おまえはもう痩せている」

>痔努

「なんやて~」

「い!?」

痔努はみるみるうちにガリガリとなり、気絶した。

その光景を見た少年は、おもらしをしてその場に座り込む。

ダイエットの件、新たな旅立ち

>少年

「そうか、それであの小娘の経穴を押して・・・」

「けど、どうしてあの村に残らないんだ?おまえぐらいの腕があったら簡単じゃないか?

キヌアもたっぷりあるし」

件は少年の言葉を無視して歩く。

「よお、まってくれよ。おれは棒(ぼう)てんだ。まてよ~」

その光景を見ていた林は、涙を流しながら叫ぶ。

「ケーン」

>長老

「特保現るところ乱ありといってな・・・、件はわれわれのためにこの村から出て行ったのじゃ・・・」

「林のいるこの村のためじゃ」

そういうと林の肩に手を置いた。

>林

「ケン」

 

つづく